えりあし

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「ラスト・ホールド!」ティーチイン付舞台挨拶レポ

5月28日、新宿ピカデリー18:50上映回にて、真壁幸紀監督永野宗典さん駒木根隆介さんによるティーチイン付舞台挨拶が催されました。

作り手の方や演者の方から作品のお話を聞く滅多にない機会だったので、個人的な備忘録として書いていこうと思います。具体的な言い回しの違いや誰が喋ったなどの正確性についてはご容赦ください。

 

 

 

本編上映後にまず松竹の方からのアナウンスが入り、お三方が入場してすぐに関係者の方たちによる写真撮影が行われました。永野さんが「挨拶の前に撮影って(笑)」としばし置いてけぼりの客席を気遣ってくださり、真壁監督が「僕もう慣れました。舞台挨拶17回やってきたので」と非常に頼もしい発言があり、次いで客席サイドもSNS用に写真撮影の許可が下りたので、私も撮らせて頂きました。

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左から真壁監督、永野さん、駒木根さん。反射していますが真ん中にはパネルが置いてあります。

 

会本編の進行は松竹の方ではなく真壁監督がしてくださいました。御三方は前方の椅子に腰を降ろして会はスタート。

真壁監督から応援上映が好評で、ピカデリーでの再追加が決まった」と教えて頂き、会場も拍手!真壁監督は公開後の動向も細かく把握なさっていて驚かされます。

 

質疑応答の前に、まずは真壁監督がお二人に話を聞いてくださいます。

 

 

  • 真壁監督「塚田くんとSnow Manと共演してどうでしたか?」

永野さん「OBとしてボルダリングジムでのシーンがあって、塚田くんの上腕二頭筋がすごかった。ぷりぷりしててしゃぶりつきたかったですね、充血するくらい。ボルダリングの楢崎選手も一言だけ登場して、贅沢な使い方だなと」

駒木根さん「この映画の見どころは吹替なし、キャストが自分たちの力でボルダリングを登るところにありますが、唯一僕だけはワイヤーで吊るされました。エンドロールでCGカットの方がいて、どこで使ったかというと、壁と身体とを繋いだワイヤーを消してくれた。ボルダリング部OBともなると、腕に力が入ってないのにぴったりホールドに密着出来ているように見えるけど、実際は違う(笑)楢崎選手からも「あの方大丈夫?」と心配された。」

Snow Manとの絡みは個人戦でOB二人が飲み物やプロテインを差し入れで持ってくるシーンを撮っていたけど、本編ではカット。そのシーンはパンフレットには載っているそうです。カットした理由は

真壁監督「物語に緩急があって、試合シーンでしめて日常シーンではコメディ要素があって。試合シーンと大島コーチ(勝村さん)の緊張感を繋げた方がいいと思ったからカットした」

とのこと。

団体戦では二人が解説役も兼ねているけど、実際の撮影は別で撮った。映らないのに登らせる訳にはいかなかったので。(舞台挨拶で監督も「とにかく怪我をさせてはいけないから7人には極力登らせないようにしていた」と話されてました)実際のプレイを一度見て、そのあと別で指し棒を使いながら「今高井戸登ってます!」「フィギュア4!」などとリアルタイムでの本人たちを見ずに撮影した。‪

塚田くんもSnow Manもめちゃくちゃ忙しく、夜中まで撮影をしてから塚田くんはその後歌撮りに向かっていったそう。駅まで車で送って貰って、先に降りた塚田くんが二人を乗せた車が角を曲がって見えなくなるまで手を振って見送ってくれた。

永野さん「太客を大事にするホステスみたい!そこまでしてくれるんだーって」

永野さんのコメントは度々角度が強めでした笑

 

 

続いて客席からの質疑応答へ。

  • Q.各キャラクターによって衣装からも個性が表現されているが、岡島の私服はどういった意図があったのか

真壁監督「あとの6人が個性的だったので、まずは他と被らないように、主人公なので個性は付けず、内面のお芝居が多いから外見で引っ張られないように色も抑え目にした。筋肉が見えるとき(ボルダリングシーン)と見えないときのメリハリを持たせるために露出も少なめ。衣装合わせで塚田くんの意見も取り入れている」

OBお二人も帽子を被せたりと他のキャラクターとの差を持たせ、本当の私服みたいな服装を。駒木根さんは「社会人になって太った」という台詞があるのでそのシーンはぴったり目の服にした。

 

 

  • Q.OB2人の年齢はいくつなのか

実際のお2人の年齢は、永野さん40歳、駒木根さん37歳。劇中に新社会人を彷彿とさせる台詞があるけれど…

真壁監督「どう見ても新社会人じゃないだろ!という見た目にして作品のツッコミどころを作った。ボーリング場のモニターに回想シーンが映ったり、岡島の髪が金髪になったりと、ツッコミどころを入れておくことで繰り返し見ても飽きずに楽しめるようにした」

解釈を絡めた話になるんですけど、監督から「お2人が実際のOBの年齢ではないように、塚田くんも31歳で大学生ではない」といった発言があって、塚田くんとSnow Man自体も5〜6歳差があるので、新入生すの・就活生岡島・OBお2人の年齢バランスを取っての配役だったのかなあと思いました。

舞台挨拶やインタビューでも監督からリピーター客向けとして画面を分割したり、ひとつの画面に大勢を映すようにしたりと、何度見ても楽しめるようにストーリー外の演出意図もたくさん用意されていて、いざ直に解説をお伺いして納得する部分が多く、とても感動しました…!

 

 

 

  • Q.OB2人は現役時代はどんなキャラクターだったのか

永野さん「映画が決まって実際に初めてボルダリング場に行った。監督からボルダリングに関する指示を受けるかも知れないので。劇中にもあった、初心者が下の方でぷるぷるしちゃって全然登れない、というのを実際に経験した。なので、ボルダリングのことは好きだけどボルダリングの神様からは愛されなかった、向いてないキャラ」

ちなみに永野さん、同日の昼の上映回にピカデリーで本編を鑑賞されたとのことです。

駒木根さん「ボルダリングの試合のシーンは埼玉の深谷で撮影された。隣に座っていた現地の方が岩を20年近く登っているそうで、ボルダリングは試合に出るとか成績を伸ばす以外の楽しみ方もあって奥が深い。だからそういう役」

真壁監督「ツイッターでも話していたけど、ラスト・ホールド!エピソード0があったらそこを描くのも楽しいかもしれない。2人が現役生で岡島が1年生で」

永野さん「なんなら2人が出会うところから。どこの部活入ろうかな〜(2人でうろうろ)」

駒木根さん「もしそうなったら社会人になって太った設定だから痩せなきゃいけない」

真壁監督「(ワイヤーで吊るされた件に被せて)CGで体の線消しますか?」

駒木根さん「全カットCG処理はやばい(笑)」

 

 

  • Q.永野さん・駒木根さんが他7人の役を演じるとしたらどの役をやりたいか

永野さん「新井くん。田舎から出てきた子だよね?(資料を覗き込みながら)」

永野さんのご出身が宮崎なので、新井の方言を使う上京してきた設定が自分と重なったのかな、といった話ぶりでした。

永野さん「あと顔がタイプ」

顔ファンでした。

新井は劇中大きく変化する役でもあって、新井は地方出身だけど深澤くんは東京出身といった違いもあったけど対応してくれた。「深澤くんはいいバイプレイヤー」といった表現がお三方から上ってました。

駒木根さん阿部くんの名前を、ゲームが好きで体力がないので1回勝負なところを挙げていました。役と演者の違いはあったか?といった流れになって

真壁監督「当て書きなのではまらないってことはなかった。みんなゲーム好きで、舞台挨拶の移動中にも塚田くんやみんなでゲームしてた。その時に阿部くんから声を掛けて始めていた印象がある」

役と演者のギャップのなさは監督もご満足でした。ちなみに舞台挨拶でも真壁監督の「館ちゃんは真面目」と宮舘くんの真面目さを讃える言葉をよく耳にしました。

 

 

  • Q.河口桑本は哲学科だけど、他の部員は何学部なのか

真壁監督「河口と桑本が哲学科というのは、ガイダンスで男子が少ないから相手を見つけやすい、声を掛けやすい環境にある学科だから。経済とか法律も考えたけど数が多かったり、理系学部も考えたけど、例えば物理専攻にしてしまったらその設定を物語に活かさなきゃいけない気がしたので却下した。他の子たちは特に決めてないので、次回があったら考えておきます」

大学事情に全然明るくないので、ほ〜と感心しながら聞いておりました。

 

以上5つの質問にお答え頂き、会は終了しました。

 

 

  • 個人的な感想

作品については既にインタビューや舞台挨拶でたくさんお話してくださっていたのですが、質疑応答で教えてくださった答え以上の仕掛けやフックがまだまだ用意されているであろう余白を伺い知れて、改めてとても大きなお仕事なことを実感させて頂きました。

個人的に岡島の私服がめちゃくちゃカッコ良すぎてリア恋極まって倒れるって気持ちで頭がいっぱいだったので、岡島の立ち位置や絵的な差分などの狙いを教えて頂けて己の欲深さを反省しました。でも私服の岡島くん最高かっこいいのでまだ見てない人是非凝視して欲しいです。(欲深)

akeras.hatenablog.com

個人的なラスト・ホールド!の感想を既にまとめていたのですが、改めて真壁監督のキャストに嘘を吐かせない作り方に監督への信頼がぐぐっと高まりました。フィクションだから嘘を吐いたって全然構わないんですけど、それでも「当て書き」に拘ってくださったことはファンとしてとても嬉しいです。

 

 

また何かイベントでお話を伺える機会があれば是非参加したいです。素敵な機会とお時間をご用意して頂き、本当にありがとうございました。「ラスト・ホールド!」の更なる躍進を心より応援しています!