ABC座2016 株式会社応援屋!!~OH&YEAH!!~
ABC座2016 株式会社応援屋‼︎〜OH&YEAH!!〜、全35公演、お疲れ様でした!
毎年演目が変わっていくえび座ですが、去年に続き今年も演出は少年隊の錦織一清さん、そして今年は脚本・音楽にNONA REEVESの西寺郷太さんが加わり、また一歩、内側から外側に向かって輪を広げていった舞台となりました。
ABC座の基盤はあくまで「ジャニーズ」舞台ですが、今年は遂にクレジットからジャニーさんの名前がなくなりました。それでも初演から続く「ABC座」の名前が付けられたままなのは、ジャニーさんの手元を離れても、A.B.C-Zにはジャニーさんの魂が刻まれている、とジャニーさん自身が感じているからなのかなあ~、と勝手に思っております。
今のジャニーズの中で、A.B.C-Zほどジャニーズクラシカルに特化したグループはいないのではないでしょうか。私自身、ジャニーズを能動的に追いかけるようになって約10年ほど経ちますが、A.B.C-Zのファンになってから知ったジャニーズの歴史や文化が数多くあります。
そんなA.B.C-Zに、外の世界と現代の時間が吹き込まれた舞台、それが私にとっての今年のABC座です。
今年のえび座の一番の魅力はなんといっても「音楽」だと思います。
西寺郷太さんといえばV6の「Sexy.Huney.Buny!」*1他、様々なアーティストの楽曲制作に携わっており、現時点タイアップもCMもないA.B.C-Zにとって、ここまでの外部の方との共作は初めてではないでしょうか。
郷太さんはこのABC座のために新曲を11曲!書き下ろしてくださったそうで、ミニアルバムが作れちゃいますよ~、すごいなあ!どの楽曲もかなり遊びが聞いていて面白いので、今年は楽曲の話をしながら記事を書いていこうと思います。
素人の主観なのでいろいろとご容赦頂けますようお願いします~。
MUSIC NUMBER
~一幕~
#1:マーチングバンド
#2:OH&YEAH!!/A.B.C-Z
BGM ビニ傘 to Real Love
#3:腐れ縁・イン・ザ・レイン/修也、ジョー
#4:将棋 BANG! #1/桂馬、くりくり、A.B.C-Z
#5:人の心はマスマティックス?/いしけん、くりくり、桂馬
#6:We're DIGITAL BOYS/デジタルボーイズ
#7:シンドイシンドイシンドバット/シンドバッズ
#8:Waiting for you/いしけん、A.B.C-Z
#9:Change Your Mind/いしけん、修也、ジョー、くりくり、桂馬
~二幕~
#10:One More Kiss/A.B.C-Z
#11:The Same Birthday/裕美子
#12:サポーターズ #INTERLUDE/いしけん
#13:桂馬のジレンマ/桂馬
#14:人の不幸をクリック、クリック、クリック/デジタルコープスの皆さん
#15:将棋 BANG! #2/桂馬、デジタルボーイズ
#16:Delicious/桂馬、A.B.C-Z
#17:The Same Birthday/裕美子
#18:Change Your Mind Ⅱ/応援屋の皆さん
#19:サポーターズ/応援屋の皆さん
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OH&YEAH!!
グレースーツに身を纏ったA.B.C-Zが歌うこの曲は、昨年「Smiling Again」のような手拍子の似合うポップさとはがらりと色を変えた、大人な曲調になっています。
劇のタイトルを繰り返すサビや、自然と横揺れしてしまいそうなジャジーさは、どことなく「JAM TOWN」のOPを彷彿とさせる曲調で、「JAM TOWN」でも音楽を手がけていた郷太さんのセルフオマージュなのかな、と個人的には思っております。
今年のABC座は河合くんと戸塚くんが、2016年新春にKAAT神奈川芸術劇場で行われていた舞台「JAM TOWN」を観劇して感銘を受け、錦織さんと郷太さんとの共作を直接お願いしにいったことから始まりました。*2
それもあってなのかこの「応援屋」の本編は、今年のえび座の発起人である河合くん演じる修也と、戸塚くん演じるジョーの二人のシーンから始まります。製作者の二人から演者の二人へ、作品をバトンタッチしているようで、感謝と尊敬と愛のある始まりだなあと思いました。
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腐れ縁・イン・ザ・レイン
初日に観た感想は「この曲で客席の半分が死んだ…」でした(笑)。幼馴染である修也とジョー、A.B.C-Z内唯一の同期である河合くんと戸塚くんの二人曲です。
そしてこの楽曲はミュージカルの王道「SINGIN' IN THE RAIN」、「雨に唄えば」の有名なシーン、音楽の授業でも見たことのある、雨に打たれながらの歌とダンス、水たまりのタップダンスも再現されていましたね。
この曲の途中でパソコンを前に椅子に腰を掛けた塚田くん演じるくりくりが登場します。修也とジョーのタップに合わせて、くりくりがパソコンのキーボードをタイピングしており、二つのタップ音が共有されているのです。*3音楽畑の人ならではの小遊びだなーと感動しました!
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BGM ビニ傘 to Real Love
ジョーがコンビニのビニ傘を修也に渡してから腐れ縁~が始まるまでのちょっとの時間にオフボーカルでこのBGMが流れるのですが、この曲はそのまんま同タイトルで「JAM TOWN」で使われていた楽曲です。「JAM TOWN」ではヒロインの女の子がイケメンくんと再会して恋に落ちる乙女ティックなシーンで、その時も場所はコンビニ、雨、ビニル傘と、同じシチュエーションだったんですよね。ビニ傘繋がりだとは思うのですが、曲を知っている身としては、こう、ね…ここでこれが流れるの、面白いよね…(笑)
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将棋 BANG!
桂馬の引退のニュースを見て静岡から愛車のミゼットに乗ってはるばる東京・中野のバー「チェリームーン」までやってきたくりくり。将棋盤を挟んで向かい合わせに、モニターに映る小学生時代の対局風景に合わせて将棋を指す桂馬とくりくり。
将棋 「BANG!」=将棋「盤」と道具そのものにも掛かっていますが、駒を指す音がパーカッションとして楽曲に組み込まれているのも面白いです。
歌詞には「矢倉穴熊」「居飛車振り飛車」などわかりやすく将棋用語が用いられており、「腐れ縁」で繋がった修也とジョーと対になる、「将棋」で繋がった桂馬とくりくりを表す楽曲です。
上ステージにOPのグレースーツを着たはしふみとつが一本のマイクスタンドに三人で歌っているのですが、塚田担のため見る機会がありませんでした。今年のえび座の円盤化に託しました。
この曲の最後に桂馬の手をくりくりが掴んで制止させて終わるのですが、くりくりの顔が綺麗すぎて何を表しているかまでがわからなかったので、解釈が固まっている人がいましたら是非教えて頂けると嬉しいです。
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人の心はマスマティックス?
「腐れ縁」の修也とジョー、「将棋」の桂馬とくりくりに対して、橋本くん演じるいしけんを表す楽曲は、いしけんセンターにバックは(大体)Travis Japan演じるデジタルボーイズの皆さんがついています。対になる相手がいないのはもう0番の宿命ですね。
「人の心は数学」「すべて計算、予測出来る」と本気で信じている、おっきなわんわんはちもとくんとは真逆のクールインテリ天才役のいしけん。殊に一幕はいしけんの表情はずっと冷たく、この曲のダンスもロボットダンス調なので、いつものA.B.C-Zの橋本くんの魅力である情感深い歌声やダンスを封じられた、ニッキニッシさんからの次のステップへ上るための課題のようにも感じました。歌に感情という装飾がない分、橋本くんの歌声の綺麗さが改めてよくわかってよかったです。
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We're DIGITAL BOYS
「ワンゼロ・那由多・天・京・一・千・厘・and MIllion」「We're DIGITAL BOYS」合間にラップと、構成にどことなくジャニーズのメンバー紹介曲っぽさを感じました。踊れる子達がこれでもかってくらいかっこいい振り付けで踊っていて、かつメンバーはいないので、心置きなくJrを楽しめて贅沢な時間でした。
メンバーがいるとどうしてもメンバーのことを追っちゃうので、すっぱりいない時間を作ってくれたのが個人的にはありがたかったです。
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シンドイシンドイシンドバット
明確なコンセプト、捉え方によってはどこまでも広げられそうな、日常生活にすぐ用いることが出来る歌詞。最近の女子アイドルの傾向が短いフレーズに見事に表れていて、さすがです。
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Waiting for you
人の心は~とは打って変わって、両親のいないいしけんが社長と裕美子さんに両親の姿を求めて重ねる、孤独と寂しさが染みてくる曲です。
同じ場面に修也とジョーもいるのですが、メインはいしけん。将棋 BANG!のはしふみとつのように、グレースーツに身を纏ったつかごがマイクスタンドと一緒にせり上がってきます。工夫や遊び心というよりは、シンプルに歌と曲の良さで魅せる曲になっているのではないでしょうか。
個人的に一番好きな曲です!!歌い終わってマイクスタンドと一緒に降りていく塚田くんが、伏し目がちにそっと微笑む顔が、いつ見ても綺麗で美しかった…。
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Change Your Mind
桂馬のCATANAとの再戦をお願いしに再度桂馬に会いに将棋会館に訪れるくりくりと、桂馬をスカウトしに来た応援屋の皆さん。修也とジョーに自分の本来の目的を吐露したことで殻を少し破れたのか、桂馬とくりくりに対するいしけんの対応が、修也とジョーのときよりちょっと柔らかくなってます。
すごいタイトルですよね、「あなたの気持ちを変えます」。劇中で一番ポップで可愛らしい曲じゃあないでしょうか。最初は既に応援屋のメンバーであるいしけん、修也、ジョーの三人で歌って踊っていたのが、途中からくりくりも参加して、最後には桂馬もにこにこ顔でタンバリンを掲げちゃいます。ディズニー映画みたいで可愛らしいです。運動会の応援団でも見る横と縦に手を振るあれもありますね、あれ。名前はわかりません!
この場合の応援=音楽で人の心を変える。音楽畑の方の脚本、って感じですね。
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One More Kiss
郷太さんが15年前に少年隊に歌って欲しくて作った楽曲だそうです。編曲は「Sexy.Huney.Buny!」でもタッグを組んだcorin.さん。13年ABC座「ジャニーズ伝説」でもA.B.C-Zはジャニーズ幻の楽曲「Never My Love」を与えられましたね。ABC座は少年隊のPLAY ZONEの継承ともいえる舞台で、A.B.C-Zは過去のジャニーズからのバトンを数々継承されており、こんなところでも“ジャニーズクラシカル”な繋がりを感じられて感慨深かったです。
サビの「One More “KIss!”」の歌詞に合わせて橋本くんが投げチューしてたの可愛かったなあ。
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桂馬のジレンマ
裸足で自身の葛藤を描く、桂馬さんのコンテンポラリーダンスの楽曲はショパン「革命」。Legendコンのソロといい、五関くんとクラシックという、切っても切れない関係…。
この時間、日生劇場の舞台上には五関くん一人しかいないんですよね。他のメンバーやジュニア目当てで来たとしても、客席全員が五関くん一人だけを見ていた時間が、パートが、この舞台にはあった。必要な時間だと、五関くんに任された。…五関くんがかっこよすぎてつらい…。
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人の不幸をクリック、クリック、クリック
将棋 BANG!の駒音みたく、社員証をピッ!する音がテンポとなって始まる専務と秘書の楽曲。多田さんを演じるひのあらたさんの歌がうまいのなんのって!舞台に立つって当たり前に高い技術を持っていないとあの場に立てないんだよな…としみじみしたり。
オラオラ厨二していたデジボの皆さんが音楽にあわせて体が勝手に踊ってた!なコミカルなパートなので、あくどいことをやってきた人たちなのを忘れちゃいますね。CATANAたんもすごい頑張ってた。
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Delicious
CATANAとの再戦兼桂馬の引退試合はニコ生で中継されていたようで、モニター画面には荒ぶるCATANAと、あのニコニコ独特のなんともいえないテンションのコメントたちが映像で流れています。劇中で唯一歌詞が文字としてモニターに表示されていました。
土曜夕方のアニメのような、強そうなアニソンって感じ!「Deliciousな愛」ってわかるようなわからないような、意味のあるようなまったくないような歌詞を歌えるのはアイドルの特権だと思います!いかちー!
桂馬のピンチに訪れた応援屋の皆さんと5人で歌うときは、いしけん=橋本くんがセンターの布陣でしたが、4人がハケた後は同じ曲を桂馬さん一人のボーカルで聞けるのが最高でした…深く息を吐くことしか出来ない…。
CATANA戦の前にミリオンのマイクパフォーマンス中に流れる、パイプオルガン調の「アメージンググレース」も最高でした。将棋の神様に道を拓かれた桂馬さん…!!
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The Same Birthday
「嫌い」から始まる曲って、生まれて初めて聞きました。
女性アンサンブルを除くと、この舞台で唯一の女性である裕美子。背負わされるものが多すぎて重すぎて、つか育ちのニッキさんを恨まずにはいられませんね!!!
裕美子を演じる鈴木ほのかさん、びっくりするほど歌がお上手で、どの公演に入ってもクオリティにアップダウンがなく、さすがでした。女性として母親として、とにかく辛くて悲しくて、そして透き通るように美しい一曲です。
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サポーターズ
「君をサポートしたい」Change You Mindとはまた違った応援の曲。
劇中いしけんが一人で歌っていたときはピアノとグロッケンだけのシンプルな演奏だったのが、ラストに全員で歌う「サポーターズ」は、野球応援にもそのまま使えそうな打楽器管楽器の音も加わっており、OPの最初の最初にマーチングバンドが流れたのは、ラストのこの曲に繋げるための演出だったんですね~!
昨年のえび座から演劇色が濃くなってきたえび座ですが、今年は演劇パートの中でも音楽がたくさん使われていたので、複数回見ても飽きや慣れは殆どなかったです。散りばめられた小ネタは、多すぎるオマケとして気軽に楽しませて貰いました。「ショー」と「演劇」の配合が「和製ミュージカル」という、「JAM TOWN」で錦織さんと郷太さんの二人が目指した形にまた近付けたのではないでしょうか。河合くんも公演前の雑誌で「JAM TOWN」を超えるくらいの作品にしたいと話してましたもんね。
ジャニーさんが手を付けない以上、純正ジャニーズの世界はどうしたって得られないことがよくわかった年でもありました。
ジャニーさんの世界を内部、それ以外を外部と呼ぶなら、摩擦というか異物感というか、分かり合えない要素は今もこれからも確実に出てきてしまうのでしょうが、作り手の皆さんがジャニーさんへの愛と尊敬を絶やさずに作っていることはどの方面からも伝わってきました。
正直ストーリーの線で見ると決定的に共感出来ない部分がどでかくいくつかあったのですが、「A.B.C-Zにしか作れない世界」であることは揺るぎない事実だったので、そこを大事に抱えて、また来年のABC座を楽しみにしたいと思います。
グループ全員が出演する、グループ名がついた舞台が毎年開催されているのって、本当にすごくて立派で、A.B.C-Zでしか味わえない最高の贅沢だと思っているので、来年も更に力をつけたA.B.C-Zの皆さんが、新しくより一層強い世界を作っていくのを楽しみにしております!